大阪のホテルでは、業務用エアコンがフル稼働し、電力コストは運営費の大きな割合を占めます。
エアコン清掃は、多くのホテルで「避けられない経費」として計上されがちです。
しかし、清掃を「戦略的な投資」と捉え直すことで、電力コストの削減と突発的な故障リスクの低減という、二重の利益(ROI:投資対効果)を狙うことができます。
今回の記事では、ホテル経営者や設備担当者が納得できる、業務用エアコン清掃のROI試算の考え方と進め方を解説します。
1. ROI試算の基礎:清掃による「電力コスト削減効果」
エアコン内部の熱交換器(フィン)にホコリやカビが蓄積すると熱交換効率が低下し、設定温度に到達するために余計な電力を消費します。これは、エアコンが常に「全力疾走」している状態に近いイメージです。
試算例:コストは回収できるか?
前提:年間電力料金(空調)が500万円の場合
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削減効果(仮定):
一般的に、熱交換器の汚れを除去することで数%程度の効率改善が見込まれるとされています。ここでは例として5%改善を仮定します。
→ 年間 25万円 のコストダウン(500万円 × 5%)
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清掃費用(投資):
20万円(仮定)
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結論(例):
初年度で投資額を回収できるケースもあります(ROI 125%)
まずは、清掃が「コスト」ではなく、収益改善につながり得る投資であることを明確にしましょう。
2. 「隠れた損失」の定量化:故障コストと機会損失の回避
清掃を怠ると、ファンやドレンパンに負荷がかかり、故障リスクが高まります。
特に大阪のホテルは稼働率が高い時期も多く、繁忙期にエアコンが故障して客室を販売停止(アウト・オブ・オーダー)にすることは、大きな損失になり得ます。
故障コストの構成:
- 修繕費用:出張費、部品代、交換工事費などの実費。
- 機会損失:故障による客室停止日数 × 平均客室単価(ADR)。
これらの合計額は、清掃費用を大きく上回る可能性があります。計画的な予防清掃は、突発的な修繕コストや販売機会の損失を抑えるリスクマネジメント施策として位置づけられます。
3. ROI計算と意思決定のヒント
清掃のROIは、電力削減による効果と、故障回避による利益(修繕費・機会損失の回避)を合わせて算出します。
( 年間削減額 + 故障回避による利益 )
÷ 清掃費用 × 100% = ROI
ROIが100%を超える場合、投資として合理的である可能性が高いと判断できます。
この数値を経営会議で提示できれば、清掃計画を単なるメンテナンスではなく、電力・修繕費・客室稼働率といった収益構造に影響する「経営戦略」として位置づけやすくなります。
まとめ:
業務用エアコン清掃は、単なるメンテナンスではなく、電力・修繕費・客室稼働率というホテルの収益構造全体に影響を与える経営施策です。
ROIの観点で「電力削減」と「故障回避(損失の抑制)」を定量化し、計画的な清掃サイクルを導入することで、収益構造の改善につなげましょう。