客室数100〜300室規模のホテルにとって、TAT(Turnaround Time:客室清掃完了時間) は、売上と口コミ評価の両方に直結する重要指標です。
特に宿泊需要の高い大阪エリアでは、チェックアウトが集中する時間帯やインバウンド需要による変動などの影響で、清掃オペレーションが乱れやすい環境にあります。
このとき、スタッフや客室ごとにTATがばらついてしまうと、
チェックイン時間に間に合わない、フロントへの問い合わせ増加、清掃スタッフの現場ストレス増大
といった悪循環が生まれます。
最近では、ホテル清掃をアウトソーシング(業務委託)する中規模ホテルも大阪を中心に増えていますが、内製・外注にかかわらず「動線」をきちんと整えない限り、TATの平準化は実現できません。
今回の記事では、現場の負担を増やさずにTATを安定させるための「清掃動線」と「平準化」の考え方を、実務ベースで整理していきます。
TATが安定しない現場をよく見ると、原因は大きく次の2つに集約されます。
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🔹清掃の順序が人によってバラバラ
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🔹清掃動線が非効率(ムダな往復が多い)
清掃動線とは、スタッフが客室内外でどのように動き、どの順番で作業をしていくかという「流れ」のことです。
例えば、こんなパターンは要注意です。
ゴミ回収(室内)→ 廊下でゴミ捨て(室外)→ 室内に戻ってベッドメイク → 再び廊下でアメニティ補充
このように室内と室外を何度も行き来する動線は、TATのばらつきの温床になります。
理想は、「客室に入ったら、清掃完了まで基本的に出ない」一気通貫のSOP(手順) を全員で共有すること。
「入室 → ゴミ回収 → ベッドメイク → 水回り → 最終チェック → 退室」までの流れを標準化しておくと、経験年数に関わらず一定のTATが出やすくなります。
さらに一歩踏み込むなら、清掃を次のような工程に分解して時間を計測してみましょう。
→ ゴミ回収・片付け、ベッドメイク、水回り清掃、仕上げチェック
どの工程が長く、どこに個人差が出ているかを把握すると、研修やSOPの見直しポイントが「感覚」ではなく「データ」で見えてきます。
TATを短くすることだけに意識が向かうと、今度は「仕上がりの質」が崩れやすくなります。
そこで重要になるのが、品質の“平準化” です。
多くのホテル清掃請負現場では、 実際に客室を仕上げる「メイクスタッフ」、商品として販売できる状態か確認する「チェッカー」 のように、役割を分けて運用するケースが増えています。
こうすることで、
「自分の仕上げを客観的に見直す “二重チェック” が機能する」「チェッカーが不備の傾向をつかみ、教育やSOPに還元できる」
といった効果が期待できます。
品質を揃えるには、「一度教えて終わり」ではなく、日々の目線合わせの仕組みが欠かせません。
例えば、
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🔹毎朝の朝礼で、前日の不備事例を共有する
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🔹NG事例・OK事例の写真を見せながら、良い・悪いを視覚で理解してもらう
といったやり方は、経験の浅いスタッフにも効果的です。
外国人スタッフが多い現場でも、写真や動画ベースでの共有は「言葉の壁」を越えて伝わりやすいのでおすすめです。
最近は、清掃数の報告や不備の報告・写真添付、作業前後の状態管理などをオンラインで一元管理できる清掃管理システムや報告ツールを導入するホテルも増えています。
こうしたDXツールを活用すると、
🔹ゾーンごとのTAT傾向
🔹不備が出やすい時間帯・客室タイプ
🔹スタッフごとの仕上がりのクセ
がデータとして蓄積されるため、「なんとなく」ではなく「根拠のある改善」が可能になります。
TATの平準化は、単に「早く掃除する」「人数を増やす」という話ではありません。
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🔹清掃動線を整えてムダな往復をなくす
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🔹ゾーン運用で客室を“割って考える”
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🔹品質を平準化する仕組みを用意する
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🔹必要に応じてDXツールで見える化する
こうした要素が組み合わさることで、高稼働時でもチェックイン時間を守りつつ、清掃品質も維持することができます。
大阪のように宿泊需要の波が大きいエリアでは、ホテル清掃をアウトソーシングしているかどうかに関わらず、
「動線」を意識した運用づくりが、安定したホテル運営の鍵になります。